田植えのピーク越える

皆さま、ゴールデンウィークはどう過ごされましたか?先月の記事でも少し触れましたが、心配した通り、このGW中の長野県での山岳事故は17件が発生し、数名の登山者が亡くなりました。長野県外ではニュースにならないことですが、長野県の山岳事故はこれほど日常的に多く起こっているのです。さて、ずい分例年に比べて肌寒い気候が続いていた駒ヶ根も、ここに来て一気に気温が上昇し半袖で過ごせるほどになりました。田植えもピークを超え、各田んぼからはカエルの合唱が始まっています。多くの農家は土・日休みを利用して田植えを行いますが、事情によっては会社を休んでの田植えとなります。田植えで会社を休む事はとても仕方がないことで、むしろどうぞ!どうぞ!的に許されるのも田舎の特徴です。田植えあとは田んぼの水の心配や、土手の草刈りといった重労働が続きます。田舎にとって“米”は命ですから、田んぼが無かった家がどれほど食べる物に苦労したかや、戦時中に疎開して来た子供たちがどれほど食べるものが無かったかなどの話を聞かされると、人々が田んぼを大切に代々守ってきた思いが伺えます。いくつかのエピソードはまたいずれの機会にお話します。

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千畳敷スキー場オープン!

ゴールデンウィークに先駆けて、4月25日には中央アルプス開山祭が千畳敷カールで行われました。開山と言っても、中央アルプスはまだ冬山ですから、登山者は冬山の装備でおねがいします。もちろん雪上を歩くので「アイゼンとピッケルの装備無しでは登山しないでください!」と山岳協会の方もロープウェイ駅で呼びかけています。
時を同じくして、千畳敷スキー場がオープンしました!営業を終えるスキー場に相反して、標高2600mの千畳敷スキー場はこれからが約1ヶ月半の営業開始です。春スキーのメッカでもあり、かつては南半球のスキー場がオープンするまでの空白期間を、かつてのスキーデモンストレーターたちはここ千畳敷スキー場でキャンプを張ったそうです。
リフトは架設のTバーリフトを使用しますが、上手く上部まで行くには慣れが必要です。まだまだ駒ヶ根市では雪とたわむれるレジャーを味わえます。お手軽なスノーシュー体験などもおすすめです。今年のゴールデンウィークは千畳敷で遊ぶのはいかがでしょうか?

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蕗の薹(ふきのとう)

窓から眺める外の景色は「ん?春だな!」と目で思うのですが、いざ外へ出てみると風の冷たさに「まだ冬だな…」と肌が感じてしまうギャップに戸惑うこの頃です。
それでも、春分の日も近いですから、確実に春はやってきています。早速、家族が「ふきのとう」を沢山採ってきました。田んぼや畑が多い地域ですから、身近な春の使者第一号といえばやはりこれです。
早速天ぷらにしていただくのと、定番のふきのとう味噌がいいですね! 信州の人は野沢菜の漬物を冬期に多く食べますので体に塩分がたまりますが、春にふきのとうが塩分を体外に排出してくれるのだそうですから、上手くしたものですね。またあの苦みが肝臓に良いそうですから、お父さんの薬にもなるようです。
間もなく、雪の合間から顔をのぞかせる福寿草の便りも届くでしょう。千昌夫の唄ではありませんが、確かに季節の移り変わりをダイナミックに感じることができるのも田舎暮らしの楽しみです。

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純白の結婚式 中央アルプス千畳敷

毎年2月の中央アルプスでは、「中央アルプス・純白の結婚式」が行われ、今年も2月4日(土)に2組のカップルが標高2600mの千畳敷カールで永遠の愛を誓いました。山岳の天気にハラハラドキドキの結婚式でしたが、千畳敷ホテルのスタッフによる氷の手作りチャペルと、雄大な中央アルプスを背景にすばらしい挙式となった模様です。
純白の結婚式も今年で15年目を迎え、ローカルテレビ局のみならず、今年は全国ネットのニュースにもなりました。始めた当初は、あいにくの吹雪で、せっかくの新郎新婦が鼻水タラタラでテレビ中継されてしまったりと、継続が危ぶまれましたが、関係者のご尽力ですばらしいイベントに成長しました。新郎新婦の多くは県外の方々で、登山が縁で中央アルプスで挙式をしていただけるなどと、とてもうれしい限りです。きっとお二人やご参列の皆様にとっても忘れることのできない特別な日だったことでしょう。
写真:駒ヶ根観光協会&Facebook https://www.facebook.com/komagane/

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薪ストーブのある暮らし

皆さまの新年は順調なスタートでしたか?
駒ヶ根は最も厳しい冬を迎えています。さて、こちらで新築される家は、近年「薪ストーブ」が多く見られます。黒い鋳鉄のストーブはインテリアとしても堂々の存在感を放ち、大火力でクリーンに空気を温めてくれます。そして何よりも、炎や熾のゆらぎを眺める冬の暮らしは代えがたい贅沢です。コスト的には石油ファンヒーターの方がはるかに安価ですし、薪代も灯油よりは高いかもしれません。そして何よりも薪の準備が大変です。薪割りを自分でするとなれば重労働。薪の乾燥は半年以上が必要ですから、春から始めた薪割りも実は来年用なのです。薪置き場も結構なスペースが必要ですから、薪小屋があった方がいいでしょうし、薪運びには軽トラックも欲しいところです。薪ストーブの暮らしには結構お金もかかるし、労力もいることなのです。
お年寄りは、子供の頃の薪集めの重労働の経験から、「薪ストーブなんてとんでもない!」と忌嫌う方も多くいらっしゃいます。しかし若い世代にとっては、薪ストーブを焚く冬のために夏場に汗を流すことや、手間を費やすこと、お気に入りの道具を揃えることなども含めて、「家を建てたら薪ストーブを置きたい!」と憧れるライフスタイルの一つです。
(駒ヶ根市のストーブ販売店『ファイアーサイド』様のyoutube動画をリンクさせていただきます。webサイトはこちらhttp://www.firesidestove.com

お年取り

長野県の大晦日は、各家庭ごとにスペシャルなご馳走を囲んでの夕食・宴会が特徴で、それを【おとしとり】と呼びます。「お年取り」には都会にいる子供やその家族、兄弟などが帰省して一堂に集いますから、喜びとおもてなしの大ご馳走になるという田舎の事情があります。
そして、驚かれる方も多いと思いますが、長野では「おせち料理」は「お年取り」の料理として作り、もう大晦日のうちにはいただいてしまいます。昔ですとこれに加えて、海無し県なものですから遠く富山湾から「鰤街道」を越えてきた貴重な鰤を焼き魚にしたり、「粕汁」にしたりといった風習があったようです。

現代の「お年取り」のご馳走は大きく変化し、各家庭によっても様々になりました。多く聞くのはカニや鍋、その他はすき焼き、お寿司やピザ。縁起物の「年越しそば」は除夜の鐘の前の夜食といったところでしょうか。「お年取りは、何食べた?」は新年の挨拶で聞かれる最も多い会話です。
皆様、良いお年をお迎えください!

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11月の初雪

24日未明から降り出した雪は、関東甲信越を中心に11月としては異例の積雪を記録しました。駒ヶ根でも約12~13㎝も積もり、これは11月に降った雪としては観測史上で最も多い積雪だそうです。

数日前の小春日和からは一転、まさかの雪にほとんどの人がスタッドレスタイヤなどはまだ交換していない為、てんやわんやの状況でした。
伊那谷を走るJR飯田線も架線の凍結で一時運転が止まるなどして、冬には慣れっ子の筈がカウンタ―パンチを食らったような感じです。
りんご「ふじ」の収穫は今が最盛期ですし、スタッドレスタイヤだって例年は12月中旬が交換のピークです。水道管の凍結防止作業もまだこれからの仕事ですから。

そもそも伊那谷の人びとにとっての冬とは、1月末頃に来る超極寒のピーク時期こそが冬だと思っています。そのため、寒くなりはしたものの、まだ11月では冬とは認められません。「今から着てどうする!まだ早い!」などと言って、都会の人のように11月からダウンジャケットは着ないのです。
そこへもってきて今回の積雪は、急に訪れた冬に仕方なく覚悟を決めるといった心持ちです。

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心を奪われる秋

駒ケ根の朝晩はストーブが恋しくなる季節になりました。気が付けば黄金色の田んぼの稲はすかっり刈り取られ、周囲を囲む山々はこれから本格的な紅葉の時期を迎えます。秋は最も短い季節ですが、駒ケ根では最も美しい季節です。あと2~3週間後には中央アルプスが冠雪しますので、白い山脈と麓の黄色や赤に彩られた木々のコントラストに心を奪われます。この時期は晴天の日が多いので、夜には澄んだ空の星が降ってくる様です。りんご「ふじ」は収穫の最盛期を迎えますので果樹狩り、紅葉狩りに訪れるお客さまには本当におすすめの季節です。

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大宮五十鈴神社の大三国

9月の駒ヶ根はイベントが目白押しで、とても豊かな文化行事に触れることができました。その中で、毎年秋分の日に行われる大宮五十鈴神社の例大祭も、9月22日に盛大に行われました。大宮五十鈴神社と言えば、宵祭りの「大三国」と呼ばれる筒花火の奉納行事が大変有名です。例大祭は、上穂、北割、中割、南割区の氏子たちの年番制で守り継がれています。打ち上げ花火と共に、祭りの圧巻は夜7時からの大三国です。櫓の上に仕掛けられた筒花火から音を激しく上げて火花が吹き出し、火の粉を浴びながら氏子衆が上半身裸の腹掛け姿で纏を回しながら厄払いを行います。「わっしょい わっしょい」の気勢の中、男の祭りは盛大に執り行われます。見学者も火の粉を浴びますから、衣類の焼け焦げには覚悟をして、また来年もお越しください。(写真提供:駒ヶ根市)

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戦争の記憶「松の脂を燃料に」馬見塚公園

駒ケ根市の最南部にある馬見塚公園は桜とつつじの名所として市民に愛されています。その馬見塚公園の松には奇妙な傷痕の松を見ることができます。これは「傷痍軍松」と呼ばれているもので、幹の皮をはぎ取られ、斜めにキズ跡が残った痛々しい姿を現代の我々にも見せています。戦争も末期になるといよいよ日本は深刻な燃料不足となっていました。そこで軍部は、松脂から航空機用燃料を作ろうと松脂を採ることを国民に推奨したのです。このような傷痕を残す松は長野県の各地でも見ることができます。結局は松脂からは、とても航空機に使えるような燃料は精製できなかったそうです。終戦記念日のあった8月のトピックでした。

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