猛暑に耐える駒ヶ根です。
真夏のうちに、不思議体験の一つもお聞きいただこうと思います。
少々、駒ヶ根市や伊那谷の話題からは外れる内容となりますことをお許しください。もしご好評ならば、またいずれかの機会に、他の体験話もお話しするといたしましょう。
(山の怪 その1)
駒ヶ根市Aさん一家は、家業が駒ヶ根で本格化したことにより、伊那市の山里から移住してきました。まだ伊那市で暮らしていた子供の頃の話。兄弟3人は父親のクルマに乗せられて、山奥にある神社というか、神様の祠というか…そこの様子を見に行った帰りの事だったそうです。
夕暮れになり、親子のクルマは山を下り始めました。
ところが、山道を下っているにもかかわらず、堂々巡りを繰り返していて、なぜか山から下りられません。さっきの場所に戻って来てしまうのだそうです。
父親は「おかしい、おかしい、こっちのはずだけどな…(汗)」焦りを隠しません。山の中はすっかり暗くなり、まだ小さかった末っ子の弟は「おっかない」と言って、ずーっと泣いていた。そんな不思議話を聞かせてくれました。
「狸にでも化かされたのかねぇ…」
話を聞いた時は、そんな感想でした。
しかし今になってみれば、もしかしたらその神様とやらはお稲荷様で、「狸」ではなく「狐」に化かされたのではないか?
数年後にそう想える出来事を、今度は私自身が体験します。
~下記へと続く~
(山の怪 その2)
それから7~8年後の筆者本人。計画性のない若者が、当てのないドライブに出かけています。長野県を北上し、志賀高原に達した頃にはすっかり深夜。睡魔に取りつかれているにもかかわらず、クルマは越えなくても良い渋峠を越え、草津温泉へと下ります。居眠り運転にも近い状態のまま、我に返った場所は「榛名山」山頂の「榛名湖」湖畔でした。
焦りました…。いくらナビが無い時代とは言え、普通に広い道を行けば、榛名山に上ることはないでしょう。
軽井沢方面を逃したとしても、国道は群馬県前橋市か高崎市へと向かいます。「榛名湖?」彼方に見える関東の夜景を左に見ながら「帰りの方角は右」と、自分に言い聞かせています。
ほどなくT字路に突き当たりました。「よし、帰りの方角は右…」
ところが、看板は左の方角を差しています。
「?」… 疑ったところで、看板の方が正しいことは明らかです。
その通りに左折して約40分間ほど運転したでしょうか。ちょっと時間がかかり過ぎやしないかと気づき始めた頃、T字路に行き当たります。
「…何か、おかしい!」そうです、このT字路は先ほどのT字路です。なんと戻ってきてしまっているのです。
眠気のせいで、きっとどこか、途中にあった右折を見落としたに違いないと思い直して、再び左折。ところが数十分後、またもや同じT字路に戻ってくるのです。
考えてもみてください。看板通りに進んでいるのですから、今頃は市街地に下りていなければなりません。なぜ、山から下りられないのでしょう?
結局、3度目は看板を無視し、意を決して右折。ようやく朝になって駒ヶ根へ帰宅できたという体験です。
榛名山中をぐるぐると堂々巡りをしている最中、なぜか周囲が夜霧に覆われていたのは関係があるのでしょうか?
後日になってから、「榛名山」山頂には立派で有名なお稲荷様の神社があることを知ります。
あの時、狐様は深夜「丑三つ時」の私をもて遊んだのか?
はたまた何かを戒めたのか?…その答えは今も謎のままです。
五穀豊穣の神様「稲荷大神」(画像:中川村望岳荘上の稲荷神)