伊那谷の正月飾り

皆さまは正月飾りはどうされていますか?近年では、多くの玄関先でホームセンター等で買った正月飾りを掲げる時代になりました。そこで、本年最後のブログ記事にあたり、駒ヶ根を含む伊那谷の伝統的な正月飾りについてご紹介しようと思います。
中央に竹が3本そびえる全国標準型の門松の豪華さに比べると、伊那谷の門松はとても質素です。まず皮を剥いだきれいな2本の杭を玄関先に打ちつけます。2本の杭それぞれに「松」と「竹」の両方を立てます(地域や家庭によっては「松」のみ)。そして藁を筒状にこしらえた「おやす(神様の食器)」を飾り付けてから、和紙で作った「紙垂(しで)」をはさんだ「注連縄(しめなわ)」を2本の杭に渡すというものです。杭を立てる場所が無い市街地のお宅用や玄関先用の正月飾りは、上記アイテムを簡素化して「おやす」に「松」の枝と「紙垂」を結わえたものをこしらえます。
質素な見た目ですが、藁は秋の稲刈りのものですし、山から松の枝をいただいてくるところから正月飾りは始まっています。面倒な作業が多く長い時間を要するものです。しかし、その長い作業時間そのものが「神事」であり、家族への平安を願う家主の思いが込められています。なんと神々しく美しい正月飾りだろうかと思います。
では、皆さまにとって良い新年が訪れます様に。