地方移住と野生動物との距離

11月6日、赤穂東小学校付近でクマの目撃情報がありました。駒ヶ根駅からもほど近く、工業団地と住宅地が入り混じる市街地ですので、何かの見間違いであってほしいという思いと同時に、学校付近ですので子供たちには何事も起こらないことを祈ります。

皆様ご存じの通り、今年は全国で1万数千件ものクマの出没情報があり、63人が襲われうち2人が死亡しているというニュ―スがありました。
コロナ禍以降、長野県の不動産業界へは「地方移住」「別荘」といったキーワードからの検索が多く寄せられ、都会からの注目を集めています。
全国のクマ騒動や駒ヶ根のクマ目撃情報を受けて、「地方移住と野生動物との距離」という知識があった方が良いのではないかと思いましので、今月はこのお話をします。

大なり小なり、地方移住や別荘所有では野生動物、さらには昆虫との距離が極端に近くなることは知っておいた方が良いでしょう。
移住者の中には敢えて山奥を希望される方がいらっしゃいますが、その分、野生動物との距離もグッと近くなることまでは意識されていますでしょうか?
美しい声でさえずる小鳥や愛らしいリスの類は良いですが、そうばかりとは限りません。
ふと気が付けば庭にいる大量の猿の群れ、夜間には大切な畑を荒らす猪。池にやってきて魚を狙う大きな鷺。夜の峠道を我が物顔で支配する鹿の群れ。そして究極の恐怖はクマです。
広報スピーカーからクマの出没が伝えられると、パトカーが巡回し猟友会の方々がライフル銃を持ってやってきます。こうなると子供の登下校も見えない恐怖との闘いとなります。

野生動物とは距離が保てる市街地だとしても虫の類がいます。軒先の巣に群がる大量の蜂、洗濯物と一緒に取り込んだカメムシ。見たこともない大きな黒いクモや阪神タイガース模様のクモ。襖の模様が動いたかと思えば大きなムカデ。玄関を開けておいたら家に侵入したヘビ、何故かいつも玄関横にいるトカゲ。夜の蛍光灯に体当たりしては溜まったホコリを落とすコガネムシ。起床前なのに枕元で鳴き始める蝉。
こうしてまとめて書くと駒ヶ根はとんでもないジュラシックワールドに聞こえますが、日本全国・地方の山間部というのはこんなものです。
それでも皆が慣れて生活していますので大丈夫です。クマに襲われるというのは本当に稀な事例だと思っても大丈夫でしょう。
しかし、リスクが無いわけではないですし、野生の猿が大量に敷地内にいれば怖いと感じるものです。ですから地方移住の場所選びには、野生動物との距離感をどのくらい保ちたいのかも含めて検討することも案外必要かもしれません。後悔しないための地方移住へのご参考となりますように。