50年ぶり・中央アルプスのライチョウ

ライチョウ(雷鳥)は長野県指定の「県鳥」であり、国の特別天然記念物です。おそらく実際に目にされた方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか?
その理由は、長野県を取り巻く北アルプス、妙高山、御嶽山、南アルプスといった限られた高山帯にしか生息しないこと。簡単に言えば登山をする人しか目にするチャンスが無い上に、しかもその名の通り「雷が鳴るような悪天候にしか姿を見せない」用心深さから、たとえ登山客でさえも出会うことが少ないのです。
中央アルプスにも以前は少数が生息していたそうですが、駒ヶ岳ロープウェイの開通による登山客の増加により、50年前には絶滅してしまったと言われていました。ところが近年、登山客により撮られた写真がライチョウではないか?と注目され、枝に引っかかっていた羽毛をDNA鑑定した結果「北アルプスから飛来した雌のライチョウ一羽」であることがわかりました。
雷鳥ってキジ科で飛べないと教わっていたのですが、どうやら20㎞位は飛べるのではないか?と今では考えられるそうです。それにしてもいったい何を思ったのでしょう…飛べると言っても一度の飛距離はちょっとでしょう?ちょっと飛んだり、歩いたり、隠れたりを繰り返しながらこの冒険心溢れる彼女は北アルプスからやって来たのです。
今では実家の北アルプスで採取した有精卵をそっと彼女の無精卵と差し替え、孵化させようとする作戦が環境省によって進められています。いつの日か「私、生まれも育ちもここ中央アルプス駒ヶ岳です」という雷鳥にハイマツの影で会える日が来るかもしれません。

画像はイメージ(長野県公式ホームページ>シンボル より参照)https://www.pref.nagano.lg.jp/koho/kensei/gaiyo/shoukai/symbol.html