竹林の管理放棄

竹林の管理放棄が全国で深刻化しています。
駒ヶ根市でも同様であり、その実感が湧くのが冬の季節であるという話題です。

降雪の少ない伊那谷ですが、いざ雪が積もると道路脇の竹林が、雪の重さでしなったり折れたりして、車道や歩道をふさぐ事態があちらこちらで起こります。そのせいで、行き交うクルマやトラックは避けあい譲り合うなどするわけですが、これが結構危険で迷惑なものです。また子供の通学にも危険が増してしまいます。地方社会の高齢化は、竹林を管理する担い手を欠くことにもなっているという、社会問題なのです。

伊那谷の竹林は、古来から日本に自生していた真竹「マダケ」と思われます。家屋や集落の裏山や田畑の山際などの、人の生活に近い場所に竹林が見られるのは、きっとそこへ移植されたからでしょう。
当時の人々の暮らしに、竹は欠かすことができなかった事は言うまでもありません。篭(かご)や箕(み)といった農具、弓矢といった武具、土壁を塗るときの芯材や竹釘・垣根としての建築資材。箸・櫛・ひしゃく・団扇の骨などの日用品、物干し竿・梯子・ほうきなどの生活用品等、挙げればキリがありません。
一方では食料として、また茶道具や美術装飾品に姿を変えたり、防災林としての活用もあったようです。
ですから、竹林を所有することは豊かさの象徴だったわけです。人の暮らしと密接に関わってきたそんな竹も、1970年台にはプラスチックに置き換わり、人との関係は急速に途絶えました。

しかし、令和の時代になっても竹林の繁殖力は旺盛なままです。
毎年3メートルの地下茎を伸ばし、順次タケノコを生やして成長しています。そうして放置竹林は里山を侵食し続け、面積を拡大し続けているのです。
一方で保水力のない竹林は、近年の大雨によって土砂崩落を引き起こす要因とも指摘されています。
もはや放置竹林をどうするべきか?真剣に議論する必要がありそうです。皆さんに良いお考えはないでしょうか?