郷土力士「御嶽海」の執念を見よ!

令和8年の9月場所(秋場所)、十両4枚目の番付で臨んだ長野県の郷土力士「御嶽海」でしたが、残念ながら5勝10敗と大きく負け越してしまいました。
一年の締めくくりとなる来月11月の九州場所は、十両9枚目〜11枚目あたりの番付になりそうです。
十両は14枚目までですから、来場所こそは是が非でも勝ち越せるよう応援しなければなりません。

元大関まで登りつめ、幕内優勝3回という輝かしい実績を持つ御嶽海だけに、十両下位への後退は県民にとっても胸が締めつけられる思いです。
しかし、プライドを横に置き、土俵に向かう執念は見事というほかありません。まさに今こそ、相撲取りとしての美学を貫いている真最中ではないかと思えます。

(ざんばら髪の幕内力士として)

かつての彼がどれほど凄まじい力士だったのか。学生相撲のスーパーエリートとして角界入りすると、わずか4場所で新入幕を果たしたことを覚えていらっしゃいますか?
「大銀杏(おおいちょう)」をまだ結えない幕内力士を時々見かけますが、御嶽海の場合は髷(まげ)さえ結えないほどのスピード出世。
「ざんばら髪の幕内力士」として大きな話題になりました。今から11年前、2015年11月場所のことです。
とんでもない怪物が現れたと、NHKの大相撲中継でもセンセーショナルに湧き立ちました。
東洋大学から大相撲に入門する木曽出身の力士として、長野県内では広く知られてはいましたが、まさかのスピード出世にお年寄りたちはテレビの前で歓喜したものです。

(皆が抱き合って泣いた)

強いとは知りつつも、まさか大関にまで昇進するとは長野県民も予想していなかったと思います。ましてや3回も幕内優勝を果たし、あの大きな賜杯を抱くことになるとは夢にも思わなかったはずです。
しかし、ついにその瞬間は訪れました。2018年7月の名古屋場所、御嶽海は悲願の幕内最高優勝を果たしたのです。
70歳・80歳を超えたお年寄りたちが、あれほどまでに喜ぶ姿を私は見たことがありません。
普段は静かな老人たちが「やったー!やったー!」と声を張り上げてはしゃぐ姿。あの光景が県内の各地で繰り広げられたのかと思うと、御嶽海の成し遂げた功績はとてつもなく偉大です。
地元の木曽・上松町(あげまつまち)では、町長をはじめ町民の皆さんが歓喜よりも抱き合って泣いたと伝えられています。

(今こそ御嶽海の執念を見よ!)

御嶽海は単に強いだけのお相撲さんではありません。立派なお相撲さんだと心から感心するのは、彼自身がこうした故郷の光景をしっかりと胸に刻んでいるところです。
長野県の人たちがどれほど自分の「取組み」を楽しみに待ってくれているか。番付に名前が載る限りは、精一杯相撲を取り続けたいと思っていると感じます。
その執念を支える原動力は、地元や応援してくれる人々へ。そして相撲部屋や土俵への恩返し。さまざまな想いが執念となって土俵に上がっているのだと察するのです。

アマチュア時代からの天才肌で、入門後は出世が早すぎて先輩力士が付き人になるしかないほどのエリートです。大関まで経験し、頂点を極めた者ならば、十両に陥落した時点で現役を退いていてもおかしくありません。
今の立場は、下から這い上がってくる若手力士へぶつかっていく身。
並々ならぬ執念がなければ、過去のプライドを封じ込めることなど到底できないはずです。

今こそ、「御嶽海」という力士の執念を目撃できる貴重な時間です。
これぞ、我が長野県が誇る郷土力士の生き様。
11月の九州場所は一戦一戦、県民総出で背中を押し続けましょう。

郷土の誇りを背負った力士の執念はすさまじいのだ!